瓜実条虫ってなんなの?

体内に寄生する内部寄生虫は
形の違いで線虫類・条虫類・吸虫類
・原虫類の4つに分類できます。

今日は条虫類のなかの
瓜実(うりざね)条虫のお話です。

そもそも条虫類とは何か?
条虫類は1つの「頭部」と
数えきれないくらいにつながった「片節」
構成されています。

頭部には吸盤のような構造があり
宿主の腸管の壁などに
しっかりくっつくことができます。

片節1つ1つに卵巣や精巣のようなものを
持っていて、たくさんの卵を
生産しています。
雌雄同体ということですね。
卵の詰まった片節が数えきれないくらい
つながっているなんて、想像を絶する~!

聞いたことがあると思われる「サナダムシ」
というのは、条虫の総称です。

瓜実条虫は
その成長にノミやハジラミが必要です。
フィラリアの成長に蚊が必要なのと
似ていますね。

犬に寄生した瓜実条虫の片節の先っぽの方を
老熟片節と言いますが、これがちぎれて
便の表面に付着して
便と一緒に出てきます。

大きさは米粒くらいなので
肉眼で見えます。
出て来てしばらくは
便の表面でウニウニと動いています。
犬のお尻付近にくっついてウニウニしている
こともあります。

そのまま放置されると乾燥し
老熟片節が破れて
中から「卵嚢」という
卵がパンパンに詰まった袋が
たくさん出てきます。

そして、卵嚢が破けると
中から卵がたくさん出てきます。

で、これだけではその後は成長しません。
老熟片節や卵嚢や卵を
もし犬が舐めたり食べたりしてしまっても
瓜実条虫の感染には至りません。

ここでノミが登場です!
瓜実条虫の卵は、ノミの幼虫の大好物です。

ノミの幼虫が卵を食べると
ノミの体内で、卵から瓜実条虫の
幼虫(六鉤幼虫)が出て来て成長します。

ノミの幼虫が蛹になり、成虫になる頃には
六鉤幼虫は擬嚢尾虫という犬に感染できる
ステージに成長しています。

擬嚢尾虫を持ったノミが犬に寄生し
犬が痒くて口でかじかじしたり
舐めたりしてノミを飲み込んでしまうと
擬嚢尾虫がノミ体内から出て来て
犬の小腸に寄生してしまいます。
そしてどんどん片節が作られ
何十センチにも成長してしまうのです。

ぜひ画像をネット検索してみてくださいね。
瓜実条虫の虫体、便にくっついた老熟片節
卵嚢などの写真がたくさん出てきます。

ちなみに、瓜実条虫という名前は
片節の形が瓜の種に似ているための
ネーミングです。
犬条虫と呼ばれることもありますが
犬だけでなく
猫や人に寄生することもあります。

少数の寄生ではそれほど
症状は出ませんが
たくさん感染すると(濃厚感染)
腸が炎症を起こしたり
腸からの栄養の吸収が不十分になり
痩せてしまったりします。

ノミの寄生がなければ
(ノミを飲み込まなければ)
瓜実条虫の寄生もありません。

ノミの予防をしっかり行いましょう!

続きはまた明日。

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