熟女シーズーの骨肉腫が判明して約2週間。
今日は犬の骨肉腫について
少しお話したいと思います。
ちょっぴり難しい話になりますが
なるべくわかりやすく書きますね。
骨肉腫は原発性骨腫瘍のひとつです。
骨自体から腫瘍が発生するのが
「原発性骨腫瘍」で
他で発生した腫瘍が骨に転移するのが
「転移性骨腫瘍」です。
転移性骨腫瘍は犬や猫ではとても稀で
ほとんどが原発性骨腫瘍です。
(「転移」とはがん細胞が血液や
リンパ液の流れに乗って
他の臓器・組織にたどり着き
そこで増えてしまうこと。
ちなみに、「がん」とは悪性腫瘍を
指すときに使われる言葉です。
良性腫瘍は転移しません。)
犬の原発性骨腫瘍のほとんどが悪性で
その中で一番多いのが骨肉腫です。
発生が多いのは大型犬や
超大型犬(特に雄)と言われていますが
小型犬や中型犬にも発生します。
人の骨肉腫は若年で発生することが
多いようですが
犬は中年齢から高齢で認められることが
多いです。(若齢での発生もあります)
骨肉腫は発生しやすい部位があり
犬では圧倒的に橈骨遠位端、脛骨遠位端
上腕骨近位端、膝関節付近など
四肢の骨への発生が多いです。
(遠位端→その骨の心臓から遠い部位
近位端→その骨の心臓に近い部位)
熟女シーズーは上腕骨近位端から
上腕骨全体に広がったようです。
小型犬や中型犬は上記のような
四肢の骨への発生よりも
体幹の骨への発生割合が高いとも
言われています。
X線検査をすると、骨肉腫に侵された骨は
骨融解といって骨が溶けてしまったように
見える部分と(黒く抜けて見える)
骨増殖といって骨が増えたように見える
部分(骨の皮質や骨膜が増殖)があります。
骨肉腫に特徴的ないくつかの所見が
あり、X検査で仮診断ができます。
X線検査と細胞診(針を患部に刺して
少量の細胞を採取し、腫瘍性のものか
どうか顕微鏡で確認する方法)
を合わせるとより詳しくわかります。
X線検査で骨肉腫を疑う場合
胸部のX線検査も必ず行います。
骨肉腫は非常に肺に転移しやすいためです。
骨肉腫がわかった時には
90%の犬に、すでに肺転移があるとも
言われています。
(X線にうつらない大きさのものも含めて)
熟女シーズーは左肺の前方(前葉)に
複数の転移巣がみつかりました。
確定診断するには
組織生検といって麻酔をかけて
多めに患部組織をくり抜き
専門の検査機関で病理検査を
してもらう方法をとります。
この場合、麻酔が必要なことや
検査結果が出るまでに時間が
かかることもあり
行わないことがあったり
結果が出る前に治療に入ることも
あります。
骨肉腫は発生した骨から
周辺の軟部組織(筋肉・脂肪・神経など)へ
どんどん浸潤して(広がって)いき
また、血液に乗ってすごいスピードで
肺に転移していきます(血行性転移)。
広がり方が早いため、迅速な対応が
必要になります。
今日は骨肉腫の特徴について
簡単にお話しました。
次回は骨肉腫の症状について
お話しますね。