ここのところ、わんちゃんの
がん闘病に関する
往診依頼が続いています。
わんちゃんも内臓や皮膚、骨や筋肉、
脳、口の中などに様々な
“悪性腫瘍”ができます。
違和感やだるさ、心地悪さ、
痛みや熱感など
口に出して説明できないわんちゃん達は
どうしてもがんの発見が遅れがちです。
悪性腫瘍であることがわかった時
飼い主さんたちはいろいろなことを
選択する必要があります。
手術するのか?
化学療法をするのか?
放射線治療をするのか?
食事療法を行うのか?
痛みをとるなどのQOLの維持のみを
しっかり行うのか?
漢方薬を使うのか?
その他の方法をさがすのか?
(安楽死という選択もあります)
今まで考えてもいなかった選択を
短時間でしなくてはならず
難しい専門用語も飛び交い、
心も体も傷ついてしまうことが
あります。
そして、主治医の先生とよく話し合って
今できる最善の方法を選択して
闘病生活に入ります。
決めた後もたくさんの葛藤、悩み、
悲しみ、怒りなどの感情の中で、
とても辛くなります。
(私も常に葛藤していました)
そのような飼い主さんからの
ご相談を受けることが
最近とても多いです。
手術や化学療法を行いながら
家でも何かしてあげたい。
自分にできることは
なんでもしてあげたい。
食事の工夫やマッサージ、
生活環境の整え方、
漢方薬や鍼灸の併用などの
お話をさせていただきますが
何よりも大切なのは、
飼い主さんの心の在り方だと
思っています。
わんちゃんは、がんに限ったことではなく、
自分の病気のことや死について
恐れたり、不安になったり、
悲しくなったり、怒りを覚えたりすることは
ありません。
ただ、今という時間を
精一杯生きているんですよね。
飼い主さんの感情の変化は
すぐに察知します。
飼い主さんが悲しければ悲しくなるし
飼い主さんが辛い顔をしていると
辛くなってきちゃいます。
なので飼い主さんの心の在り方は
とても大切。
飼い主さんが自分でわんちゃんに
してあげられるケアもたくさんあるので
一緒にいられる時間を
有意義に使ってほしいです。
わんちゃんの今後への不安は
私に吐き出してもらいます。
そして、自分にできる限りのことを
行いつつ、
わんちゃんとの時間は楽しく、優しく、
いつも通りに過ごして欲しいなと
思っています。
死は、生きているものに平等に
必ず訪れます。
わんちゃんはそれを堂々と受け止め、
最期の瞬間までなんの迷いもなく
精一杯生きます。
わんちゃんに必要なのは
いつも通りの
飼い主さんの笑顔なのだと
思っています。