中獣医学による治療とは?

改めて、中獣医学について、
鍼灸治療・漢方療法についてまとめてみました。

中獣医学での診療は、
飼い主様から詳しくお話を伺うことから始めます。
そのわんちゃんの生い立ち、性格、
今までかかったことのある病気やその時の症状、
生活環境、家族構成、食べ物の好み、体質等、
初診時にはたくさんのお話を伺うので、
診察時間は長時間になります。
飼い主様は話をしながらたくさんのことを思い出したり、
改めて気づいたりするので、
そのわんちゃんの様々な情報を
伺うことができます。

その上で、じっくり身体を触って、
経絡のチェックをしたり、
身体に冷えている部分はないか、
熱を持った部分はないか、
浮腫みはないか、筋肉の様子はどうか、
関節の動きはどうかなどを診ていきます。
かなり時間をかけるため、
1日に3件ほどしか診察することができないのですが、
飼い主様・わんちゃんとじっくり向き合うことのできる
現在の診察スタイルが、私はとても気に入っています。

犬のクリニックそらは、
鍼灸治療、食事療法、漢方療法、経絡マッサージ、
シニア犬ケアなどを中心に治療を行っていますので、
以下のようなわんちゃんが来てくれることが多いです。

・動物病院での治療と並行して中獣医学の治療をしたい
・現在の健康な状態を、今後も維持したい
・末期の腫瘍や腎不全・その他慢性疾患があり、
通常の動物病院で打つ手がないと言われてしまった
・悪性腫瘍の化学療法をしていて、副作用を軽減したい
・後ろ足や腰に問題がある
・薬剤(西洋薬)をあまり使いたくない
・様々な悩みを持つシニア犬
・様々な悩みを持つ、成長期のわんちゃん、成犬

それでは、
鍼灸治療・漢方療法についてのお話をします。

<鍼灸治療>
体には、「経絡」と呼ばれる通路があり、
ここに「気」「血」が流れています。
体表にはこの経絡と繋がった「穴」のようなものが
たくさんあって、
これが「経穴(ツボ)」と言われるものです。
体調がよい場合は経穴は現れませんが、
臓腑に何らかの異状や変調がある場合は、
その臓腑と関係の深い経絡上に何らかの異状が起き、
連絡している経穴が体表に現れます。
そして、この経穴に鍼や灸による刺激を伝え、
経絡の気血の流れを調整したり、
よい気を補ったり、悪い気を除いたりして
体のバランスを回復させるのが鍼灸治療です。

椎間板ヘルニアなどの治療に鍼灸治療を行うイメージが
強いかもしれませんが、それだけではありません。
中医学は西洋医学のような病名はつけず、
その時の体の状態(証)による治療を行いますので、
鍼灸治療は以下のような体の状態に、
幅広く対応できます。

・なんだか元気がない
・食欲がない、食べ過ぎる
・吐いてしまう
・軟便・下痢・便秘
・皮膚に痒みや脱毛、湿疹などがある
・皮膚が乾く・フケが出る
・足腰が痛い、関節が痛い
・咳をする
・疲れやすい、歩くのを嫌がる
・尿漏れがある、尿が出にくい
・血尿を繰り返す
・体に浮腫みがある
・てんかん様発作を起こす
・イライラしている
・眠れない、ウロウロする
・慢性疾患を持っている
・その他いろいろ

わんちゃんの治療に用いる鍼は、髪の毛ほどの太さで、
痛みなどの苦痛を与えることはまずありませんが、
怖がりなわんちゃんは、
初めての時に少し嫌がることがあります。
しかし、回数を重ねると、
だいたいのわんちゃんは受け入れてくれて、
気持ちよさそうにウトウトする子も多いです。
たくさん鍼をうつのではなく、その時必要な場所に、
必要な本数で治療します。

<漢方療法>
漢方薬の処方は、西洋薬とは異なり、
中獣医学独特の「弁証」という概念で行います。
「弁証」とは、精神状態、体質、体型、動き、排泄物、
皮膚・被毛、舌、脈、声、呼吸、浮腫み、
各部分の温度などの
体に現れたあらゆる変化を観察し、
また飼い主から注意深く話を聞いて得た情報をもとに、
現在の動物の症状を分析・診断することです。
西洋医学のような病名をつけることはなく、
現在の体の状態を表す「証」に応じた処方になります。
そのため、動物病院で同じ病名の病気に罹っているわんちゃんでも、
「証」が異なれば、異なる処方になります。
最近、症状や病名をもとに、
飼い主様自身がインターネット等で漢方薬を購入し、
わんちゃんに服用させるケースがあるようですが、
「証」に見合った漢方薬を服用しないと、
治療効果はもとより、
症状の悪化にもつながりますので注意が必要です。
「弁証」をもとに、その時の体の状況に見合った
漢方薬を服用すると、
体の持つ自然治癒力が引き出され、
体のバランスがもとに戻ることが期待できます。

中獣医学による診察を、
多くのわんちゃんに、是非試していただきたいです!

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